2003年3月25日 JMIU・金属労働研究所合同プロジェクト
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なぜ日本で異常な産業空洞化が進行しているか

[ INDEX ]

1)円高による「生産コストの上昇」

90年代後半、1ドル80円台という異常円高は、産業空洞化を加速した。

異常円高は、日本資本主義の強い対米従属政策、 および主として突出した国際競争力をもつ自動車や電機などの輸出産業部門を中心とした、 日本の恒常的な貿易黒字など日本経済の歪みによって引き起こされている。

円高は国内価格が変動しなくても、ドル建ての輸出価格が上昇し、 輸出部門の国際競争力を低下させる。

同時に円高は、輸入製品の価格を引き下げるので、 輸出製品の原材料価格を低下させ生産コストを低下させる。

賃金は為替相場に連動しないため、直接的にドル建て比較では上昇する。

円高による輸出価格上昇、 とりわけ労働コストの上昇を回避するために、 賃金の安い中国やアジア諸国に生産を移転するという企業行動をとるのである。

2)グローバル化した世界市場に積極的に対応する多国籍企業の国際的展開

経済のグローバル化のなかで、 外国資本に開放された市場でのシェアの拡大と市場支配権を確立するために、 多国籍企業は、輸出に代えて現地生産に重点を移してきた。

グローバル化は、多国籍企業が国境を越えて 自由な行動をとるための「自由化・規制緩和」を求めて、それを政治に押しつける。

市場競争での優位性確保には市場に密着した生産体制の確立が有効である。

「消費者の求める製品は何か」「それをどう開発するのか」「どう市場に供給するのか」 これらの市場戦略をすすめるには、 研究開発部門をかかえた大規模な生産体制を現地につくることが重視される。

多国籍企業は、基本的には本社を母国に置くが、 母国の国民経済との関係はきわめて希薄になり、 世界市場に最適生産体制をつくることになる。

自らの利益のためには、「国を捨てる」のである。

3)国内経済の不況と海外展開

日本の急激な産業空洞化はヨーロッパなどに見られない異常さがある。 これもまた日本の産業空洞化の要因としてみる必要がある。

とりわけ1997年ごろからの空洞化の「新たな段階」は、 橋本内閣の政策不況による国内需要の低下が、 大企業をして、いっそう海外市場を求めて、 海外への生産移転や輸出に集中する企業行動をもたらしたのである。

「橋本構造改革」の名による労働者・国民への増税、 社会保障切り捨てや失業増大・所得減少が、 国内の消費購買力をいっそう低下させ、 産業空洞化を加速させたのだが、 それは不況のもとでも、 大企業が異常なほどの高収益体制追求をおこなったからである。 現在の「小泉構造改革」のもとでも、 労働者・国民の購買力を奪っている。

現在の海外への生産移転の加速も、同じ要因が働いているといっていい。

4)日本における多国籍大企業規制の弱さ

ヨーロッパに見られない異常さの第2は、 多国籍企業への規制がきわめて弱いことである。

「規制がない」とさえいっていい状況にある。

ILOやEU(ヨーロッパ共同体)の基準では、 海外生産や工場閉鎖などの場合は労働組合や従業員代表との事前協議が義務づけられ、 違反すれば裁判でも負ける。

また海外への生産移転をする場合でも国内雇用は保障する、 工場閉鎖の場合は代替雇用を保障するなどの規制をうけることが多い。

日本では、法的・社会的な規制がまったくなく、 大企業が自由に海外への生産移転や工場閉鎖ができる。

日本の大企業の労働組合は、 それを容認・支持してきたのが実態である。

また私たち自身の反省だが、 産業空洞化の課題にたいして、 ナショナルセンターをふくむ日本の労働組合運動が十分とりくめてこなかったことが、 空洞化を加速したといえよう。

NOTES
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