JMIUトップページへジャンプ活動紹介へ戻る

いま、「蟹工船」がアツイ!
――自ら闘わなければ何も変わらない



増刷が続く「蟹工船」。東京・山手線大塚駅のある書店でも「よく出ています」という

 カムサッカに向かう「蟹工船」での奴隷的労働、団結することを学び立ち上がる労働者のたくましさを描いた戦前の名著「蟹工船」が、80年のときを経ていま、「若者に圧倒的人気!」。その意味するものは? 以下は、JMIU神奈川地本川崎支部三和エレクトロニクス分会の機関紙「るねっさんわ」(5月29日付)に掲載された組合員の感想的紹介文です。

 「『おい、地獄さ行(え)ぐんだで!』 二人はデッキの手すりに寄りかかって、蝸牛(かたつむり)が背のびをして、海を抱えこんでいる函館の街を見ていた」――。
 強烈な出だしではじまる「蟹工船」。実際に起こった当時の船員虐待事件を元に書いた小説です。プロレタリア作家・小林多喜二の代表作です。
 いま、若い世代を中心に人気をよんでいるという。
 団塊世代までは「もちろん知っている」「聞いたことはあるな」と、小説「蟹工船」をご存知の方も多いはず。

 いまなぜ若者に人気
 新聞、テレイでもその現象が紹介されています。それによると、いまも若者がおかれている現実――ワーキングプアとよばれる低賃金と不安定雇用――の「過酷な労働現実を映している」と指摘しています。
 そして「団結して状況を変えようとする男たちの明るさと強さにひかれた」「(自分と同じ立場にある小説の労働者は)一緒に共通の敵に立ちむかえてうらやましい」と、自分のおかれている現実と対比して共感をよんでいる。
 本来特殊業務に限られていた派遣法の適用の枠が外された結果、いまの不安定雇用・低賃金が拡大し、生活もままならず、将来に不安を抱える状況を生み出してきた。
 共産党を除く政党がこぞってこの派遣法改悪を推進した結果がこれである。当時は「競争社会だから勝ち組がいて当然。努力しない者は落ちこぼれるしかない」という風潮で、当時の小泉首相はその旗振り役をした。

 いま新たな動きも
 派遣労働者も、組合に結集したたかいに立ち上がっている。キャビンアテンダント、マクドナルド、ガソリンスタンドの店員などサービス業の若者、電機の仲間などなど。燎原の火のように。この火付け役はJMIUの徳島でのたたかいである。
 このように、そしてこの蟹工船が示しているように、自らがたたかわなければ何事も解決しない。
 世論に押され、やっと自省したのか?国会でも派遣法の害悪を認め、改善の兆しが見え始めている。
 でも政党と国会に任せては、自民党のスポンサーである経営側(雇う側)の利害が働き、中途半端になるのは目に見えている。

 自ら立ち上がらなければ何も変わらない
 いまこそ労働組合に入って、自分の生活と権利を守るために仲間と手を取り合って改善要求をする。働いて給料を得ている者が自分の要求を通す手段は、労働組合しかありません。
 「おれは楽しくその日が過ごせればいい」「組合なんてめんどうくさい」といった「事なかれ主義」も、こんな状況を許した原因だということを肝に銘じるべきではないでしょうか?
 「蟹工船」はいまから約80年前の1929年の作品である。それが時代を飛び越え、いま若者に読まれていることは、本当に「世の中捨てたもんじゃない」ですね。
 労働組合も、そんな若者が結集できる魅力を備えることが求められていることも、肝に銘じたいことです。自省も含めとくに強調したい。
 「蟹工船」。新潮文庫で420円です。私も30数年ぶりに読みました。読んだ方も、初めて聞いた方もぜひ一読を! オススメです!

 小林多喜二
 1903三年(明治36年)秋田県生まれ。小樽高商卒。北海道拓殖銀行に就職し、29年(昭和4年)解雇されるまで勤務した。志賀直哉に傾倒しリアリズムを学び、その後、プロレタリア文学に目覚め、労働運動にもかかわる。雑誌「戦旗」に中偏が紹介され注目を浴び、「蟹工船」で支持を得る。以後、非合法下の共産党に入党し、左翼文学運動に力を注ぐが、33年逮捕され、築地署で拷問により殺された。(新潮社文庫より)


JMIUの機関紙「金属労働新聞」は月2回(5日、20日)発行中です!(1部100円)